最新　やけど　治療

従来やけどには消毒して軟膏を塗り、ガーゼで覆うという治療法が用いられてきました。
この方法だとガーゼを取る時に傷にくっついたりして痛みが伴う上、せっかく再生した皮膚を壊してしまうこともありました。
最近は消毒して乾かす方法から消毒せず乾かさない方法に変化してきました。最新のやけど治療法である湿潤療法です。
従来行われてきたものと正反対の治療法ですが、驚くほど痛みがなく早く傷が治るのです。
湿潤療法は傷を乾かさず、潤わせた状態で治療する方法で、痛みも少なく、傷跡が残りにくく、きれいに早く治るといわれています。傷口から出る滲出液には傷の治りを早くする成分が含まれています。
滲出液を保ち適度な湿潤環境を保つことで皮膚の自然治癒力を高めます。
傷を治すためには何よりも傷を乾かさないことが大切です。生きている細胞は乾燥すると死んでしまいます。
傷が乾燥すると治ったようにみえますが、傷を乾かすことは実際は傷の治りを遅らせることになります。
従来の治療で傷が痛かったのは消毒と乾燥自体が痛みの原因だったからです。

傷口が治るためには様々な細胞が傷口に集まって働かなければなりません。
この傷を治すために必要な細胞を呼び寄せるのが細胞成長因子と呼ばれるものです。
ケガをすると傷口がジクジクしてきて、ガーゼなどがしみてくることがあります。
ジクジクしてくると傷が化膿したと思いがちですが、このジクジクした滲出液に傷を治すのに必要な細胞成長因子がたくさん含まれています。
ジクジクと滲出液が出るのは、体が傷を治すために一生懸命働いているということです。傷を早く治すためには、傷口に集まった細胞が活発に活動できることが重要です。湿潤療法では消毒もガーゼも使いません。
そのため消毒がしみる痛みもなく、ガーゼをはがす痛みもありません。傷口を乾燥させないことで細胞成長因子に覆われた傷口では、活発に細胞分裂が行われるので傷が早く治ります。傷口の細菌を殺すために消毒すると細菌よりも細胞の方が傷ついてしまいます。消毒をすればするほど傷を深くしてしまいます。傷口は水道水でしっかりと洗えば十分です。
また傷口にガーゼを当てるとせっかく出てきた滲出液がガーゼに吸いとられ蒸発してしまいます。
またガーゼは傷口にくっついてしまうので、ガーゼをはがす時に新しくできた表皮細胞も一緒にはがれてしまいます。
傷はガーゼではなく、創傷被覆材でおおって湿潤環境を保つことが大切です。
傷に対する正しい知識を身につけ適切な処置をすることが大切です。